内緒で旦那のスマホを見たいという衝動と葛藤について
2016/05/12
週末のある日のこと。
夜遅い時間になって旦那がテーブルの上にスマホを置いたまま近所のコンビニまでタバコを買いに。
その時、たまたま旦那のスマホにメール着信が…
「こんな時間に誰?」
ちょっと気になった奥さんは、旦那に悪いとは思いながらもスマホを手に取り、送信者名を確認してみたのです。
すると電話帳の登録名はアルファベットになっていて、どうやら「イニシャル」のようでした。
その時、何やら嫌な予感が全身を駆け巡ったのです。なぜなら、このところの彼はなんとなくコソコソしている様子を見せていたからです。
実はコレ、旦那の浮気が発覚した当時の我が家のワン・シーンです。
今になって思い返すと、確かにその時にスマホを覗き見ることに対してちょっぴり罪悪感はありました。
でも、それまでの旦那の様子を重ね合わせると、どうしても「浮気」の2文字が頭の中をよぎってしまい、つい行動せずにはいられなかったのです。
奇しくも、それが元旦那と浮気相手のW不倫を知ることになったキッカケでした。
ただ、道徳観念とか一般常識に照らし合わせた場合、いくら夫婦だからといっても妻が夫のスマホを勝手に盗み見ることは許されることではありません。
もし無断で見たことが分かれば、さすがに夫だって腹が立ちますよね。
結果的にスマホを盗み見られて自分の浮気がバレた場合、「プライバシー侵害だ! 訴えてやる!」と、自分の不貞を棚に上げ、逆ギレする旦那さんたちも世間には多いようです。
もっとも、それは男女関係なく本人の性格によるようですけどね。
では果たして、配偶者のスマホを勝手に見るという行為は法的にはどのように解釈されるのでしょうか。
刑法上の解釈
刑事訴訟法からいうと、配偶者の携帯メールをこっそりチェックしても犯罪にはあたりません。「他人宛の封をされた手紙」を勝手に開封して見た場合には「信書開封罪(刑法133条)」という犯罪が成立しますが、電子メールの場合には適用されないのです。
不正アクセス行為の禁止等に関する法律
このブログでもいろいろな手法をご紹介していますが、旦那のパソコンやスマホのIDやパスワードを推測したり、ソフトを使って暴いた場合には、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」により、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
ただ、過去の離婚裁判に関連して、配偶者が無断でスマホやパソコンのパスワードを暴いたなどと、夫や妻が訴えを起こしたケースはほとんどなく、まして、この法律によって警察が介入したケースはありません。
ですから、たとえ夫婦間の不貞を暴くために相手のPCやスマホのパスワードを割り出し無断でログインしたとしても、犯罪に問われる可能性は限りなくゼロに近いと言っても過言ではありません。
せいぜい浮気がバレた時に逆ギレして、「プライバシー侵害だ!訴えてやる!」と叫ぶくらいなものです。
民事訴訟での慰謝料請求の可能性
では次は民事ではどうでしょうか。
旦那さんが法的に奥さんを訴えるという民事訴訟での慰謝料請求の可能性ですが、配偶者の携帯メールを盗み見る行為は夫婦といえどもプライバシー侵害にはあたるので(民法第709条)、厳密にいえば慰謝料を請求される可能性はあります。
ただ、あくまで民事ですから慰謝料を請求するのは旦那の勝手ですが、いくらお金を請求されたからといって素直に払う奥さんはいないでしょうし、それを拒否したからといって旦那さんが裁判までやるかというと現実的ではありませんね。
それよりも、夫婦であれば民法上、お互いに「貞操義務」を負っているわけですから、「夫に不審な行動があり、浮気調査のために合理的な範囲で相手の携帯を見た」という事情があれば、慰謝料を払わなければいけないほど違法性の強い行為とは言えないようです。
その証拠に、不貞裁判では浮気の証拠としてよく携帯メールのやり取りが提出されるそうですが、そのことに対して「勝手に携帯を見たんだから慰謝料を支払え!」なんて逆の請求は見たことがないと弁護士さんが言っていました。
わたしの場合も「探偵さんの指示で勝手に旦那のパソコンやスマホのロックを解除してメールなどをコピーしたんですけど大丈夫ですか?」と質問したんですけどね。その返答は、「気にしなくていいです。浮気問題のときはほとんどみんなやってますから」と意に介さないふうでした。
仮に旦那がその件について弁護士に相談したとしても、まともに取り合ってくれる弁護士はいないでしょう・・・とも。
本来であれば、妻や夫が相手のスマホやパソコンを盗み見るような状況を作らないのが一番です。
でも、もし浮気の疑惑が湧いてきて、それによって一方が精神的に追い詰められる状況になった場合、こっそり見てしまうのはやむを得ないこと、と割り切ったほうがいいようです。