シングルマザー向けのいろいろな支援制度
2016/07/21
女手ひとつで子供を育てていくことはとても大変ですが、世の中にはシングルマザーが受けられる支援策がいろいろあります。例えば、子育て支援や就労支援などです。
これらの情報は、ただ待っているだけでは誰も教えてくれません。どうか自分から積極的に取りにいってどんどん活用していただきたいと思います。
なお、厚生労働省発行の「ひとり親家庭の支援について」というPDF文書がありますのでご紹介しておきますね。
シングルマザーに対する支援情報の入手方法
国からシングルマザーが受けられる支援策としては、
- 子育て・生活支援
- 就業支援
- 養育費確保支援
- 経済的支援
などがありますが、行政の広報活動が不足しているようで、一般市民にはあまり知られていないようです。なので、主な利用目的はせいぜい「児童扶養手当」の申請くらいに留まっているのではないでしょうか。
ところが、この申請時期というのは窓口も大変混雑しているんですよね。なので対応する職員もそっけない態度になりがちです。そんなことで役所嫌いになってしまう人が多いように思います。「相談しに行ったらたらい回しにされた」などという話もチラホラ聞きますしね。
でも、今はどこの自治体でも「子育て支援」をアピールしている時代ですから、そこは遠慮せずにどんどんお役所を利用していただきたいと思います。
1. 母子自立支援員に相談する
「母子自立支援員」という担当者が各都道府県の福祉事務所に配置されています。支援員の仕事は、母子家庭や寡婦の福祉に関して実情を把握し、個人それぞれのケースに応じて自立に必要な相談や指導を行う仕事です。
母親の就職や子どもの教育について、母子福祉資金や寡婦福祉資金の貸付など母子家庭のさまざまな問題に対して相談・指導を行っています。また、母子自立支援員だけで解決できないような問題があれば、他の専門職員と連携しながら必要な指導を行ってくれます。
予約なしでも話を聞いてくれるようですが、事前に電話で問い合わせをしておくとスムーズに相談できると思います。
2. 児童扶養手当の申請
離婚届けを提出したと同時に申請していただきたいのが児童扶養手当です。
児童扶養手当というのは、母子家庭の児童の福祉を増進することを目的とした国の制度で、両親が離婚した児童や父親が死亡した児童、または父親が重度の障害を負った児童に支給されます。
子供の年齢が18歳に達する日以降の3月31日までは支給されますが、母親の所得制限があって月額最大42,330円支給されます(平成28年4月以降)。
申請方法は、市区町村窓口に必要な書類を提出し、受給資格の認定を受けます。必要書類は人によって異なる場合がありますので、二度手間にならないよう事前に窓口で相談してください(電話での相談も可)。
受給資格が認定された場合、毎年4月、8月、12月に4か月分をまとめて支給されます。ですから、申請時期によっては最初の支給までに2~3ヶ月待つ可能性もありますので注意してください。
受給額については家庭の所得額に応じて決定されます。1~7月に申請した場合は前々年度、8~12月に申請した場合は前年度の所得が対象となります。もし仮に、すでに前年度より元夫から養育費をもらっている場合は、その8割が所得として算定されますので覚えておいてください。
ただ、あくまで自己申告ですのでそのあたりはゴニョゴニョですが、実家で親と同居の場合は親の収入も合わせて審査対象となりますので、もし離婚後に実家にお世話になる場合は注意してください。
3. いざというときにお金を貸してくれる母子寡婦福祉資金
母子家庭の生活の安定と子供の福祉を支援するために、次の13種類の貸付制度があります。借りるにあたっては保証人が必要ですが、無利子の資金や低利の資金があり、返済の据え置き期間もあります。
生活資金や学費に困った場合には、高金利な民間企業からの借金をする前に、ぜひお役所や母子自立支援員の人に相談してください。
就労支援のための資金
(1)事業開始資金(母/寡婦対象)
事業を開始するために必要な備品や什器、機械などの購入資金
(2)事業継続資金(母/寡婦対象)
現在営んでいる事業について継続するために必要な商品や材料などを購入するための運転資金
(3)技能取得資金(母/寡婦対象)
自ら事業を開始し、または会社などに就職するために必要な知識や技能を習得するために必要な資金
(4)修業資金(児童/子対象)
事業を開始、または就職するために必要な知識や技能を習得するために必要な資金
(5)就職支度資金(母/寡婦/児童対象)
就職するために直接必要な被服、履物など、および通勤用自動車などを購入する資金
生活を支援するための資金
(6)医療介護資金(母/寡婦/児童対象)
医療または介護を受けるために必要な資金(期間が1年以内に限る)
(7)生活資金(母/寡婦対象)
知識や技能を習得している期間や医療介護資金を借りている間の生活を安定させ維持するための資金
(8)住宅資金(母/寡婦対象)
住宅を建築、または購入し、保全し、改善し、または増築するために必要な資金
(9)転宅資金(母/寡婦対象)
住宅を移転するための住宅の賃借に必要な資金
(10)特例児童扶養資金(母対象)
平成14年7月に児童扶養手当の支給を受けていた者で、申請の際に現に支給を受けている児童扶養手当の額が平成14年7月分児童扶養手当の額未満であること(全部停止を除く)
子育てを支援する資金
(11)就学支度資金(母/寡婦/児童対象)
高校や大学に入学するために必要な被服などの購入に必要な資金
(12)修学資金(児童/子対象)
高校や大学、専門学校に修学させるための授業料、書籍代、交通費などに必要な資金
(13)結婚資金(児童/子対象)
母子家庭の母が扶養する児童・子の婚姻に際し必要な資金
以上ですが、進学関係の資金は保証人さえ用意できれば比較的審査がとおりやすいですし、日本学生支援機構の奨学金より無利子の条件が緩く、あるいは有利子の資金でも金利が半分に近いので、奨学金を考える前にぜひ子育て支援資金を優先的に検討してみてください。
民間の支援団体など
離婚後、もし同じ離婚経験者やシングルマザーの人達と交流できればかなり勇気付けられるのではないでしょうか。以下に、関係する民間団体をご紹介しておきますので参考にしてください。
1. NPO法人しんぐるまざぁず・ふぉーらむ
1980年に児童扶養手当の削減に反対したシングルマザーたちが集まって結成した会です。その後、2003年に法人化しシンママが子供と暮らしやすい社会を目指して活動を行っています。北海道、岩手、福島、関西、出雲、松山、福岡、沖縄に姉妹団体があります。
2. 現代家族問題研究所(ハンド・イン・ハンドの会)
参議院議員の円より子さんが代表を務める団体です。1973年から離婚問題に直面した人達に「ニコニコ離婚講座」を開催し、母子家庭に関する知識や情報を提供しています。
母子家庭に対する社会の偏見や差別をなくすための法律や制度を変える運動のほかに、各地の支部で会合や研修会などを行なっています。
むすび
支援制度のなかには直接自分に関係なさそうな資金がたくさんありますが、先輩シングルマザーのなかには元夫からもらった慰謝料や分与された財産だけでなく、これらの支援制度を利用して専門学校に通ったり資格を取得して就職に成功した人がたくさん存在します。
離婚したことが結果的に良かったか悪かったかは、離婚してからの自分の行動にかかっています。子供さんのためにも、ぜひ離婚して正解だったと言える生活を手に入れてください。