子連れ離婚と財産分与
2016/07/21
離婚後の生活を考えた場合、最も心配なのがやはりお金の問題だと思います。もし子供さんがいるならなおさらですね。
とはいえ、目先のお金だけに捉われ、焦って結論を出してしまっては大変です。子供さんの進学など将来を考慮に入れたライフプランを立ててください。
まずは緊急避難的に別居する場合
旦那さんの気持ちはどうあれ、奥さんのなかでは離婚するという結論が出たとします。
奥さんにしてみれば、家族を裏切って不倫したような旦那さんとはもう1日たりとも同じ屋根の下では暮らしたくないですし、旦那さんの世話なんてしたくもないのです。
となれば、さっさと離婚届けを提出してきれいさっぱりカタを付けてしまいたいと思うのが人情ですよね。そのためには、まずは不貞行為に対する慰謝料、財産分与、子供がいれば養育費などお金の問題をクリアしなければなりません。
ところが奥さんは旦那さんの浮気相手との慰謝料請求問題を抱え、一方、もしW不倫であれば旦那さんは浮気相手の旦那さんへの慰謝料支払い問題を抱えているでしょうから、まずはそちらを優先して解決しなければなりません。
しかも夫の不倫では夫側が離婚を承諾しないケースが多いですから、離婚に関する金銭問題までなかなか話が進まないというケースもありがちです。(まさにわたしのケースもそうでした)
わたしのように自分の実家が近くにあればいいのですが、離婚問題が片付かないうちは実家に住めないことも多いでしょうから、そんな場合は近くにアパートでも借りてじっくりと離婚問題を詰めていくしか方法はありませんね。
ただアパートを借りるといっても専業主婦には収入がないし、たとえパート勤めをしていても家賃を払ったらお金が残らない…という心配もあるでしょう。
けれども大丈夫です。夫の責任問題で夫婦が別居となってしまった場合、妻や子の生活費については主な稼ぎ手である夫に負担する義務があるのです。これを「婚姻費用の分担」と言います。
婚姻費用について、もし夫婦間の話し合いで決着がつかない場合には、「夫婦関係調停申立書」に必要事項を記入して家庭裁判所に提出する方法があります。
費用はさほどかかりません。夫婦の戸籍謄本1通と1,200円分の収入印紙、それと郵便料金の実費程度で済みます。
もしも調停が成立しなかった場合は審判となって、婚姻費用の金額は裁判所が決めることになるのですが、それまでの生活費が持たないというケースも当然考えられます。
そんな場合には、旦那さんに生活費の支払いを命じるよう「上申書」と「審判前の保全処分」を裁判所に提出する方法があります。これで旦那さんが支払わない場合は罰金が課せられますし、申し立てが認められれば強制執行も可能となります。
もし旦那さんがゴネた場合、このような手続きを踏めばアパートを借りてじっくりと旦那さんと離婚協議を進めることが出来ますよ。
財産分与
財産分与とは、結婚期間中に夫婦が協力して築いた財産を離婚の際に分け合うことです。もちろん結婚期間中に奥さんが専業主婦で収入が全くなくとも関係ありません。
分与の対象となるのは、
- 預貯金
- 自動車
- 不動産
- 家財道具
- 生命保険
- 年金
などですが、主な稼ぎ手が旦那さんの場合、たとえこれら財産の名義が旦那さんであったとしても、それは奥さんの協力があっての財産ですから分与の対象となるのです。
それと勘違いしやすいのが、結婚前からそれぞれが持っていた財産や自分の親から相続した財産です。例えば旦那さんの両親が亡くなっていて、田舎の広大な田んぼや土地、現金などを旦那さんが相続していたとしても、これについては奥さんには全く権利がありません。
それと、普段から使っている洋服や時計などの日用品、結婚期間中に勝手に作った借金も分与対象となりません。ただし、住宅ローンのような夫婦共同で作ったマイナスの財産(借金)は分与の対象となりますので注意してください。
分け方の割合をどうするか
財産分与の基本は折半です。ただ現金なら簡単ですが、住宅などの不動産があって、しかもローンが残っている場合は複雑です。
例えば、家を売却したお金からローン残金を差し引いて残った分を分け合うという方法があります。もしマイナスになる場合は、現金の分与分から相殺する方法があります。
または、家の名義は旦那さんのままでローンも旦那さんが引き続き払うこととし、奥さんと子供さんがそのまま家に住み続け、旦那さんが出て行くという方法も考えられますね。
このように財産が複雑に存在する場合は、専門家(弁護士、司法書士、ファイナンシャルプランナー)などに相談するのもひとつの方法です。
もしそこで話し合いが成立しなければ離婚調停となります。
慰謝料と養育費
慰謝料と養育費については別な記事で取り上げていますので、下記の記事を参考にしてください。
旦那有責で離婚した場合の親権と養育費
旦那の浮気が確定した場合の慰謝料について
子供に必要な資金
子供を連れて離婚する場合、最も不安なのはお金の問題だと思います。これからの人生において、果たして自分ひとりで子供を養っていけるのか。これからどうやって生活費を稼いだらいいのだろうと途方に暮れるかもしれません。
とりあえず、これから子供にとって必要な資金をまとめてみました。
教育資金について
まず心配なのが教育資金だと思います。下記に文科省が調査した、平均的な子供の教育費に関するデータを掲載しておきますね。
この表から分かるように、小中学校まで公立の学校に通わせる限りはそれほど教育費はかかりませんが、高校と大学には公立・私立いずれにせよ大きなお金が必要です。
ですから、なるべく子供が小さいうちにある程度の教育資金を貯めておき、それなりのベースを作っておきたいものですね。目安としては、自宅通学の場合で300~500万円は準備しておいたほうが安心です。
また、小学校から私立に通う場合や下宿生活になる場合はさらに大きな資金が必要です。お金を貯めるのが苦手な人は、なるべく早くから学資保険に加入しておくのもひとつの方法です。
児童扶養手当の減額に備える
母子家庭には国から「児童扶養手当」というお金が支給されます。所得によって変動しますが、子供が1人の場合で月額最大42,330円支給されます。
ただし、この手当ては支給開始から5年、または支給される条件に該当してから7年経つと減額されることが決まっています。ですから、減額が始まる前に手当てに依存しなくて済むよう計画的に準備しておくことが必要です。
年金分割
離婚するときは目先の事で手が一杯になりがちですが、年金の手続きも重要です。
旦那さんがサラリーマンで厚生年金に加入している場合、妻は年金分割制度を利用することができます。年金分割制度とは、離婚後に基礎年金しか受け取ることができない人を助けるための制度です。
分割方法には、以下の2つがあります。
■合意分割
2007年4月1日以降に離婚した夫婦が対象です。夫婦間で分割の割合(按分割合)を決め、年金事務所へ必要な書類を納めます。婚姻期間中の厚生年金を最大で2分の1まで分割することができます。もし夫婦間で合意に至らなかった場合には、一方が裁判所に申し立てをすることにより妥当な按分割合が定められることになります。
■3号分割
2008年5月1日以降まで婚姻期間が続いていて、分割される側が第3号被保険者(扶養家族)だった場合に適用されます。分割の対象となるのは2008年4月1日以降の厚生年金です。按分割合を定めるのではなく2分の1に分割されます。ただし、合意分割と併用することも可能で、条件を満たしている期間は自動的に3号分割が適用されます。
離婚後は国民年金に加入することになりますが、生活が苦しくて年金保険料を納付する余裕がない場合もあると思います。その場合は必ず免除申請をしておきましょう。そうすれば年金の受給額は一部制限されますが、もらえなくなることはありません。